『ダイヤモンドより平和がほしい』
2015年2月1日、ISによって殺害されたジャーナリスト、後藤健二さんのこの本。
現状の自分は、この本に救われた。
平均寿命が世界で最も短い国、とされるシエラレオネというアフリカの国で起きていることに比べれば、
自分を取り巻く理不尽さなんて、粉塵のように小さく感じられた。
反政府軍により手足を切断される市民。
顔を切って麻薬を埋められ、もう訳が分からなくなって戦争マシーンと化してしまう子供兵士。
シエラレオネでは、世界で一番品質が良いダイヤモンドが取れると言われており
反政府軍は、地方都市コノなど、ダイヤモンド鉱山のある町を次々と侵略し資金源とした。
耳を疑う話だが、町を襲ったのは10歳前後の子供兵士たち。
町に入ると家に火をつけ、逃げ惑う人たちを捕らえ、列に並ばせて
流れ作業のように手足を切断する。
子供兵士たちは銃を持っているので、大人でも抵抗が出来ない。
なぜ、子供兵士は、そのようなことになったのか。
そんな酷いことが出来るようになってしまったのか。
それは、反政府軍の大人たちがそのように作り上げたからだ。
反政府軍は、人数が足りなさを補うため、街を襲って子供をさらい、訓練させた。
だが、訓練したとは言っても、子供たちを完全に洗脳出来たわけではないようだ。
その代わり、まぶたの下に傷を入れて、その中に麻薬を埋め込む。
そうすると、子供は訳が分からなくなり、ただただ殺意に溢れるようになる。
意識や感情もなくなり、文字通り戦争マシーンになってしまうのだ。
現在は、反政府軍から逃れて、正常な生き方を始めた子供の写真が本に載っているが、
子供のまぶたの下には直径1センチくらいの浅いくぼみが残っていた。
その子供は、ほぼ毎日、自分が殺される夢を見るという。
後藤さんが取材したこの話を知って、
シエラレオネの、この子供や、手足を切断される人たちに比べたら、
今の自分が経験する仕事や私生活上の理不尽さなんて、
どれだけ小さいことなんだろうと思った。
自分が今抱えている問題が、急にちっぽけなものに思えた。
世界を知ることって大事だと思った。
自分が今過ごしている環境は、どれだけ平和で恵まれているのか、知ることが大事だと思った。
シエラレオネで起こっていることは深刻なことで、
それを知ったら、自分の問題が小さくなった。
あーよかった、
なんて済まされることじゃないと思う。
だが、日本に住んでいればそんなことは起きないし、それで済んでしまうところもある。
日本は平和過ぎて、シエラレオネの人たちに申し訳なく感じるくらいだ。
平和な環境にいる自分たち日本人は、少なくともそういう事実を知ることが、
彼らが望んでいることなんじゃないかと思う。
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